予防歯科とは
予防歯科では唾液の質をよくして、口腔内の細菌のバランスを整えることを目的とした治療を行います。
唾液はお口の健康にとってとても重要で、次のようなはたらきがあります。
唾液のはたらき
- 口の中の細菌の増殖を抑える抗菌作用
- 口の中の細菌や食べかすを洗い流してきれいにする自浄作用
- デンプンを分解して消化を助ける消化作用
- 口の中の粘膜を保護し、傷を修復する保護作用
- 歯の表面から失われたカルシウムやリンを補って修復する再石灰化作用
唾液が口の中にまんべんなく行き渡るようサラサラの状態にし、また中性7.0から弱アルカリ性のpH(ペーハー)に保つ必要があります。
8020(ハチマルニイマル)運動
厚生労働省と日本歯科医師会が推進する「8020(ハチマルニイマル)運動」は「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。20本以上の歯があれば、食生活にほぼ満足することができると言われおり、「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いがこめられています。80歳になっても20本以上の歯が残せるように、定期的にお口のメンテナンスを受けましょう。
予防歯科の流れ
- 1. 口腔内検査
現在の口の状態を検査し、その状態などをご説明いたします。
- 2. 歯石除去
スケーリングとも言います。超音波歯石除去器具を用いて、できるだけ無痛で歯にこびり付いた歯石を除去し、PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning:歯科医による機械を使った歯の清掃)の効果が最大限に活かされるようにします。
- 3. ブラッシング指導
患者さまそれぞれの歯並びや歯の状態によって適切なブラッシングは異なります。患者さまに適したブラッシングについてご説明と指導をいたします。
- 4. 歯のクリーニング
専門用語ではPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning:歯科医による機械を使った歯の清掃)と言います。専用の医療器具を用いて、口に溜まった汚れやバイオフィルムを除去し、清潔な口腔内環境にします。
- 5. フッ素塗布
虫歯になりやすい方には、フッ素塗布をしたり、抗菌療法によって予防していきます。
- 6. サホライド塗布
サホライドを塗布すると虫歯の進行を抑制することができます。塗布するだけで虫歯の進行を抑えてくれるので、歯を削る治療を嫌がるお子様には負担が少なくすむメリットがあります。ただし、塗布すると虫歯の部分が黒くなるというデメリットもありますので、事前に歯科医師が確認させて頂きます。
予防歯科のよくある質問
- 一般歯科
- 予防歯科
歯のクリーニングやメンテナンスはどのくらいの頻度で通院すれば良いですか?
患者さまの歯並びや歯の状態によって異なります。
- 歯並びがよく、治療している歯が少ない方 – 年1回程度
- 平均的な方 – 半年に1回程度
- 全身疾患との関係で細菌感染しやすい方、また細菌感染した際の症状が重い方 – 月に1回程度
概ね歯並びや歯の状態が平均的な方で半年に1回が目安となります。
- 予防歯科
予防対策はするべきですか?
虫歯や歯周病は、患者さまご自身が気付いたときには、既に削ったり抜いたりする必要に迫られていることが多く、また顎関節症や口臭、ストレスといった原因になっていることもあります。
このようなことを予防するためにも、定期的な予防対策はとても重要です。定期的な予防対策で、ご自身の歯を大きく削ったり、歯そのものを抜いてしまったりする必要がなくなり、ご自身の健康な歯で生涯を過ごすことも可能となります。何よりも、ご自身の口の状態とリスクを知ることは、予防歯科での治療を進める上では必要不可欠なことです。
また、予防歯科はできるだけ「費用」「時間」といった面で、患者さまのご負担を軽減し、なおかつ虫歯や歯周病から口と歯を守り、健康を維持することが目的でもあります。
- 予防歯科
虫歯や歯周病って再発するのですか?
歯科治療後の口の中は、非常に綺麗な状態になります。しかし、無菌状態ではありません。
日常の予防対策としては歯磨きが一般的ですが、歯磨きは人によって千差万別で、どうしても磨き残しなどが生じてしまいます。そういった磨き残し部分などは、虫歯菌などの細菌が集まりやすく、細菌が重なり合うとバイオフィルムという細菌の層が形成されます。このバイオフィルムという層は歯磨きで取り除くことは困難で、そこから虫歯や歯周病が再発してきます。